自力で合同会社を設立した方は、初めての法人決算を迎えて、これも自力でやろうと考えるのではないでしょうか?
僕もそうでした。
そして、初めての決算から何度目か決算を通過していますが、全て自力でやっています。
自力とはつまり、税理士にも頼っていませんし、有料の会計ソフトも使っていません(後から紹介しますが初回決算で会計ソフトを無料体験だけ使いました)。
時間の無駄という主張や、専門家に任せるべきという主張もありますが、僕のように1人で何でもこなしている弱小CEOであれば、決算と言ってもそんなに難しいことはありません。
僕は3年目(3回目)の決算に至っては1日ですべて完了するほど慣れてしまいました。
初めての決算を迎えた弱小CEOの皆さん、自力で決算やろうぜ!
ということで、1人で合同会社を起業し、1人で事業を行っている弱小CEO向けに、初めての決算を自力でやるための流れやコツをご紹介したいと思います。
法人決算とは何をすればいいのか?
法人決算はいつやるの?
個人の確定申告は、1/1~12/31の1年間についてを、2/15~3/15あたりで提出すればいいということをご存知の方も多いかと思います。
では、法人決算(要は法人の確定申告)はいつやればいいのでしょうか?
実は法人決算は法人毎に時期が異なります。
法人を設立する際、定款を作成することになりますが、その中で”事業年度”を定めます。
例えば、
当会社の事業年度は、毎年1月1日から同年12月31日までの年1期とする。
という感じです。
この場合、事業年度の終わりが12月31日となり、その後2ヶ月以内に決算を提出する必要があります。
他の例で、事業年度の終わりが3月31日なら決算提出は5月末日までとなります。
面倒だけど、だからこそ早めにやろうね。
法人決算の流れ
法人決算でやることは以下の通りです。
- 帳簿を作る
- 決算報告書を作る
- 賃借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 税務署提出用の決算書類を作る
- 税務署(国税)に決算報告書と帳簿と決算書類を提出する
- 都道府県税事務所(地方税)に決算書類を提出する
- 市役所等(地方税)に決算書類を提出する
- 税金を払う
改めて箇条書きすると大変そうに見える・・・
ちょっと耳慣れない単語も並んでいると思いますが、順に説明していきますのでご心配なく。
本当に慣れてしまえば1日で完了するくらい簡単ですし、実際に僕が初回決算で見つけたコツをご紹介しますので初回の法人決算でも自力でできるようになると思います!
法人決算の提出物
上記の流れにも記載していますが、法人決算において税務署(国税)に提出するのは、結局のところ、
- 決算報告書
- 税務署提出用の決算書類
の2種類です。
そして、都道府県税事務所と市役所等にそれぞれの決算書類を提出します。
帳簿なんてつけてなかった人も大丈夫!決算前に1年分やろう!
帳簿とは?
何もしらずに”帳簿”なんて聞くと、そんなの江戸時代の話じゃないの?と思うかもしれませんが、現代でも作成(もちろんEXCEL等で)しないとダメなのです。
帳簿とは簡単に言えば、会社に起こった出来事を記録したものです。
最低限必要な帳簿
帳簿や会計・簿記なんかのキーワードで調べると、法人には色々な帳簿があると言って10種類ぐらいずらずら並んでいるかと思います。
僕もそれを見て不安になった!
でも、安心してください。
必要最低限の帳簿は極論すれば1つです。
それは仕訳帳です。
実は、法人決算では仕訳帳に加えて総勘定元帳も必要なのですが、総勘定元帳は仕訳帳を元にして作るものなので、極論すれば仕訳帳さえあれば良いことになるのです。
いっぱい帳簿の種類があると知ってビビったけど、結局は仕訳帳だけあれば良かった・・・。
仕訳帳の作り方
最低限必要な仕訳帳がどんなものかと言うと、日付順に会社に起こった出来事を並べたものです。
例えばこんなイメージ。
- 1/1 Google Adsenseの売上があがったよ!
- 1/22 Googleから売上が現金で振り込まれたよ!
- 1/25 給料日だから役員(自分)に給料を振り込んだよ!
- 1/26 社会保険料(厚生年金と健康保険)を支払ったよ!
- 1/31 来月分のバーチャルオフィス賃料を支払ったよ!
こういう1行日記みたいなものを、帳簿のルールで記載(簿記)したものが仕訳帳なのです。
そんなに難しくないよね?
それで、何が難しいのかと言うと、帳簿のルールで記載(簿記)することなんですよね。
なぜならそのルールを知らないからです。
でも、これもググれば大体のことは出てきますし、スモールビジネスで必要になるルールなんて10個も無いくらいなので、ルールさえ分かれば難しいことはありません。
僕が実際に仕訳帳に使った仕訳事例をコチラの記事でまとめています。
これまでに実際に使ったものなので、同じような弱小CEOの方々には、超具体的かつ即有用な事例集になっております!
総勘定元帳の作り方
上の方でも書きましたが、総勘定元帳は仕訳帳を元にして作るものです。
ということで、仕訳帳が完成すればあとは切り貼り・コピペで総勘定元帳を作ることができるのですが、これをExcelやOpen Document等の表計算ソフトで作るのはなかなか大変です。
大変というのは難しいという意味ではなくて、非常に面倒かつヒューマンエラーが起こるという意味です。
単調作業をやればいいだけということです。
初めて法人決算をする場合は、右も左も分からない状態であることや、仕訳帳 → 総勘定元帳の変換方法も慣れないので、会計ソフトの力を借りることをオススメします。
僕も初めての法人決算のときには、全自動のクラウド会計ソフトfreeeを使いました。
過去には起業応援プラン1年間無料みたいなのをやっていたのですが、現在は30日間になってしまったようです・・・。
それでも初めての法人決算前にサッと使えばOKです。
初回は会計ソフトの無料体験がオススメ!
なぜ初めての法人決算では会計ソフトの無料体験がオススメかと言うと、
- 仕訳帳を作れば、自動で総勘定元帳を作ってくれる
- 仕訳帳を元に、自動で決算報告書も作ってくれる
- 2年目以降はこれを参考に自力で作れるようになる
からです。
仕訳帳自体はどうしても自力で作るしかありません。
なぜなら1年間の会社の出来事を知っているのは、他ならぬあなたでしかあり得ないからです。
初めての法人決算では仕訳帳作りに苦労すると思うので、後工程(総勘定元帳と決算報告書)を自動でやってくれるのは心強いと思います。
しかも、初回は何が正しいのか分からないという状態なので、会計ソフトが正解を出してくれるという安心感があります。
2年目以降は、会計ソフトが出した正解をお手本にして、自力で作れるようになります。
もちろんお金に余裕のある方は、2年目以降も会計ソフトを利用しても良いです。
僕はケチって自力でやってるけどね!
では、具体的にどんな会計ソフト(の無料体験)があるかと言うと、現状では全自動のクラウド会計ソフトfreeeかマネーフォワード クラウド会計です。
僕は当時、1年間無料の起業家応援プランがあったfreeeを使いましたが、現状のサービス内容を見るとマネーフォワード クラウド会計の方が良さそうに思います。
freeeは30日間のお試しプランがありますが、決算書の作成がプレビュー表示のみとなっています。
一方で、マネーフォワード クラウド会計は決算申告や仕訳データのエクスポートにも対応しており、十分に利用価値があります。
ちなみに、完全に無料のフリープランもありますが、仕訳件数が年間50件というのは少なすぎて使えないレベルなので、ライトプランまたはベーシックプランの30日無料体験を利用することになるかと思います。
ということで、初めての法人決算なら、マネーフォワード クラウド会計の無料プランを使ってみることをオススメします。
2回目からは面倒だけど、自力でも大丈夫
初めての法人決算は会計ソフトの無料プランをオススメしますが、2回目からは面倒だけど自力でやることをオススメします。
お金に余裕がある方は会計ソフトの有料プランを使ってもいいと思いますが・・・
何でも自力で安くすませるのが猫CEOだよ!
会計ソフトの無料プランを使って初めての法人決算を終えれば、正解が分かる状態になりますので、2年目以降はこれをマネすれば良いのです。
仕訳帳を自分で作ることは変わりませんし、あとは会計ソフトに自動で総勘定元帳と決算報告書を作ってもらうか、自分でちまちまと作るかの違いだけです。
僕の場合は、総勘定元帳と決算報告書を作るのは3時間くらいもあれば十分なので、2年目以降は会計ソフトを使いたいとは思いません。
では実際、仕訳帳から総勘定元帳をどう作るかと言うと、勘定科目ごとに一覧表にしていく切り貼り・コピペ作業になります。
つまり、総勘定元帳とは、
- 勘定科目「売掛金」の一覧表
- 勘定科目「普通預金」の一覧表
- 勘定科目「預り金」の一覧表
- ・・・(色々と続く)
というものになります。
総勘定元帳の具体的な作り方はググっていただくか、会計ソフトの無料プランで得た正解をマネしてください。
難しくないただの単純作業なので、ここで細かく説明するようなことはありません。
帳簿ができれば決算報告書は簡単!
決算報告書とは?
決算報告書とは決算の際に税務署に提出する必要書類の1つで、以下のものを含んでいる必要があります。
- 賃借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- 株主資本等変動計算書
サラリーマン時代にB/SとかP/Lを聞いたことがあるかもしれません。
なかなか日本語のまま賃借対照表とか損益計算書というワードで話に出てくることはありません。
で、このB/SやP/Lも怯むことなかれ、帳簿から転記すれば良いだけです。
そして最後の株主資本等変動計算書に至っては、普通はそんなにいじる必要がない(資本金を変動させたり、増資したりするときにいじります)ので、ほとんど気にしなくて良いです。
フォーマット(雛形)
初めての法人決算で会計ソフトの無料体験で自動で作成した場合は、それをお手本に2年目以降を作れば良いかと思います。
また、ググればフォーマット(雛形)はいくらでもありますので、それを利用しても良いです。
決算報告書の作り方
具体的な決算報告書の作り方としては、
- 損益計算書(P/L)
- 賃借対照表(B/S)
- 株主資本等変動計算書
の順に作ればよいと思います。
簡単に解説していきます!
損益計算書(P/L)
名前の通りですが、損益を計算する書類です。
上から順に
- 売上高
- 売上原価
- 販売費及び一般管理費
- 営業外収益(損失)
を記載すれば、あとは計算で、
- 売上総利益
- 営業利益(損失)
- 経常利益(損失)
- 当期純利益(損失)
を出すことができます。
ネット系スモールビジネスの場合は、売上原価はゼロで良いです。
ということで、売上高=売上総利益となります。
そして、販売費及び一般管理費に、役員報酬(自分の給料)や法定福利費(社会保険料)などの費用を全部入れればOK。
ネット系スモールビジネスにおいて、サーバー代って売上原価じゃないかな?と悩んだこともあったのですが、販売費及び一般管理費で良いようです。
ということで、営業利益(損失)=売上総利益ー販売費及び一般管理費となります。
営業外収益(損失)は、通常は普通預金の金利(受取利息)くらいしか無いと思います。
ということで、経常利益(損失)=営業利益(損失)+営業外収益(損失)となります。
で、最後がちょっと難しいのですが、ここまでで経常利益(損失)つまり税引前当期純利益が計算されたので、あとは税金を計算して、それを引くと純利益となります。
じゃあ税金って何よ?!というのは次章で説明します。
賃借対照表(B/S)
こちらも名前の通りですが、賃借の対照表を作ります。
もう少し簡単に言うと、資産=負債+純資産を表に記載するということです。
ネット系スモールビジネスであれば、項目もそんなに多くないと思いますし、その項目も総勘定元帳から数字を持ってくればOKです。
具体的には、次のような項目です。
- 資産
- 流動資産
- 現金及び預金
- 売掛金
- 繰延資産
- 創立費
- 開業費
- 流動資産
- 負債
- 流動負債
- 未払法人税等
- 未払金
- 流動負債
- 純資産
- 株主資本
- 資本金
- 利益剰余金
- 株主資本
これは僕の事例です。超シンプル!
ネット系スモールビジネスなら大体これくらいの項目だと思います。
あとは家賃やサーバー代の前払金を資産計上とかでしょうか。
株主資本等変動計算書
これは上でも書きましたが、株主資本金(純資産)に変動があったときにイロイロと記載するもので、普通は、
- 資本金に変更なし
- 当期純利益(損失)を繰越利益剰余金に加える
の2点だけ書くことになります。
決算書類を準備して提出しよう!
そもそも税金には色々あることを知っておこう
法人決算をなぜ提出するかと言うと、その後に税金を払うからです。
個人に対する税金が色々とあるのと同じで、法人に対しても色々な税金がありますので、先にこれを知っておいた方が良いと思います。
分かりやすいのが、税理士法人インテグリティさんのWEBサイトです。
詳細は上記のWEBサイトを見ていただくとして、法人が納める税金として一般的なものは、
- 国税
- 法人税(所得税みたいなもの)
- 地方法人特別税(同上)
- 消費税
- 地方税
- 事業税(所得税みたいなもの)
- 法人都道府県民税(住民税みたいなもの)
- 法人市町村民税(同上)
です。
ありすぎやろ!
ただし、売上1,000万円未満であれば消費税は納税不要です。
ASPからは消費税込で売上(報酬)を貰いますが、それは会社の儲けにしてしまって構わないということです。
これ地味に美味しいですよね~。
決算書類の提出先は3つ
法人決算の話に戻ります。
法人決算の提出先のメインは国税を司る税務署です。
しかし、地方税を司る都道府県税事務所や市役所等にも提出する書類があるので忘れないようにしましょう。
それぞれ提出物を説明します。
税務署
ここがメインです。
税務署に提出するのは、
- 決算報告書
- 税務署提出用の決算書類
となります。
決算報告書はこれまで説明してきたので良いかと思いますが、”税務署提出用の決算書類”とは何かというと、税務署に置いてある所定の書類です。
個人の確定申告の法人版だと思っていただいてよいです。
で、この所定の書類が曲者でして、めちゃくちゃ種類が多いのですが、自分に必要な書類だけ提出すればいいです。
じゃあ自分に必要な書類ってどれよ?!というのが最初は分からないと思います。
ここを書き出すとパターン分けも含めて膨大な長文になってしまうので、僕が実際に使った参考資料を示します。
WEBサイトはセルティスラボさん。
本は「別表の書き方がスラスラわかる法人税申告書 虎の巻」です。
法人決算で最難関はこの税務署に提出する書類を作ることだと思います。
ここは本を買って勉強することをオススメします。
都道府県税事務所
税務署(国税)への提出で安心してはダメです。
忘れずに地方税もやりましょう。
と言っても、ここからは簡単です。
都道府県税務署へは、第六号様式という書類1枚でOK。
各都道府県税事務所のWEBサイトに第六号様式フォーマットや記載方法がありますので、それに従って記入・提出しましょう。
市役所等
こちらは、第二十号様式という書類1枚でOK。
各市町村役所のWEBサイトに第二十号様式フォーマットや記載方法がありますので、それに従って記入・提出しましょう。
ちなみに、東京都23区内の場合は市町村民税も併せて都民税として申告しますので、区役所への届け出は不要です。
来期のために控えは必須!
忘れがちなのが控えを取っておくことです。
決算書類は複写になっていないものもあるので、忘れずに控えを取っておきましょう。
コンビニでコピーするのでも良いですし、スマホの写真でも十分です。
要は、何の書類のどこに記入して提出したのかが重要です。
次にこの作業をするのは1年後になるので、何をどう書いたのかなんてすっかり忘れます。
来期の自分のために控えは必須だよ!
決算を終えたら税金を支払おう!
赤字でも払う税金がある
初めての法人決算では、赤字になる方も多いと思います。
え?初年度から黒字?
そんな優秀なCEOならこのサイトに用は無いはずだよ!
まあ赤字と言っても、ネット系スモールビジネスの場合は原価が無いようなものなので、役員報酬(自分への給料)で法人は赤字になっている感じだと思います。
僕の場合もそうでした。
赤字の場合には法人税(所得税のようなもの)はゼロですが、法人住民税の均等割額は納める必要があります。
法人住民税の均等割額
法人の当期純利益(損失)に関わらず、資本金等の額や従業員数に応じて支払う必要のある法人住民税が均等割額です。
つまり、赤字だろうが何だろうが毎期必ず発生する税金です。
法人住民税の均等割額には、法人都道府県民税と法人市町村民税の2種類があり、それぞれ都道府県税事務所と市役所等に納めることになります。
ネット系スモールビジネスに多いのは、資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の区分だと思いますが、その場合の法人住民税の均等割額は、
- 法人都道府県民税:2万円
- 法人市町村民税 :5万円
で、合計7万円です。
都道府県によって環境税等が加算される場合もありますが、大体7万円くらいと思ってください。
また、東京都23区の場合、都民税と市町村税の併せて7万円を納めることになります(申告自体を1つにまとめているのと同じです)。
税金はどうやって納めるか
法人住民税の均等割額だけではなく、黒字の場合に発生する法人税等も含めて、自分で納付書を作って、税務署等または金融機関で納付します。
納付書は各税金を所轄する公的機関のWEBサイトからDLできます。
僕のイメージ的には、決算書類を提出したら税務署が納付書を作っていくら支払え!と言ってきそうに思っていたのですが、納付書は自分で作ります。
なので本当に数字が合っているのか不安は残ります・・・
間違ってたら(足りないときだけ)連絡が来るので大丈夫!
自分で作った納付書を持って、税務署や都道府県税事務所や市役所等の窓口で支払うことができますが、3箇所も回るのは面倒なので、金融機関で支払った方が早いと思います。
オススメは税務署近くの郵便局か地銀ですね。
窓口の人も慣れているので「法人の税金を払いにきました~」と言って納付書を出せば、素早く処理してくれます。
まとめ
初めての法人決算を迎えて、自力でやろう!と思っている方向けに、決算を自力でやるための流れやコツをご紹介しました。
広く浅い解説になっていますが、すべて読んでいただければ、初めての法人決算も自力でやれるかも?!と思っていただけると思います。
僕も最初は不安でしたが、やればできる程度の話で、特にネット系スモールビジネスをやっている限りは自力でやるのはさほど難しくありません。
初めての法人決算は会計ソフトの無料体験に頼ることをオススメしますが、2年目以降は全て自力でやっても1日あれば完了するのではないでしょうか。
あと、初めての法人決算で大切なのが、控え(写真)を必ず残しておくこと。
2年目の決算が簡単にできるかどうかはそれに懸かっていますので、来年の自分のために必ず控え(写真)を残しておきましょう。
それでは、法人決算がんばってください!