起業する場合に失業保険を受け取る方法

起業

会社を退職したら失業保険が貰える!ということは知っていても、いつから貰えるのか?ましてや起業しても失業保険は貰えるのか?ということは知らない方は多いと思います。

ここでは、僕が実際に、会社を退職して起業するにあたり、失業保険はどのように受け取ったのかということをご紹介します。

事前にこの流れを知っておくと、退職~起業までのスケジュールが立てられるようになると思います。

退職して失業保険を貰う流れ

まずは起業を抜きにして、普通に失業保険を貰う流れを確認しておきましょう。

ここまで「失業保険」と書きましたが、正確には「失業給付金」が貰えるという言葉が正しいですので、ここからは「失業給付金」で通したいと思います。

また、色々なパターンを書いていくと脇道にそれて長くなりますので、一般的なパターンのみご紹介していきます。

一般的なパターンとは、自己都合で退職し、3ヶ月の制限期間を経て、3ヶ月(90日)分の失業給付金を貰う場合を指しています。

ハローワーク1回目

会社を退職すると「離職票」と「雇用保険被保険者証」が会社から届きます。

これにより、会社を退職したことを証明できますので、ハローワークに手続きに行きましょう。

持参する必要書類は次の通りです。

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 証明写真2枚
  • マイナンバーを確認できるもの
  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 通帳

ハローワークで初回手続きであることを伝えれば、あとは案内に従うだけです。

初回手続きが完了すると、そこから7日間は待機期間となります。

ハローワーク2回目

初回手続きの際に、待機期間終了後に行われる説明会を案内されます。

失業給付金や不正受給防止に関する説明やビデオ鑑賞があります。

ここから3ヶ月間は制限期間となります。

多くの場合、収入が無い状態である上に、失業給付金もありません。

この期間に収入がある場合は正確に申告する必要があります。

認定日

制限期間満了の翌日から、失業給付金の基本手当の日数がカウントされていきます。

認定日を迎えるとその日数分だけ失業給付金が支給されます。

ただし、認定日を迎えるまでに所定の回数(3回)の求職活動が必要です。

失業給付金を貰う流れまとめ

流れをまとめると次のようになります。

  • 初回ハローワーク
  • 待機期間(7日間)
  • 2回目ハローワーク
  • 制限期間(3ヶ月)
  • 認定日
    →求職活動を行うことを条件に、日数分の失業給付金が貰える

起業する場合に失業保険を貰う流れ

上記のような通常の流れの詳細は他のWebサイトに譲るとして、ここでは、起業する場合に失業保険を貰う流れについて詳しく説明していきます。

起業する場合には、失業給付金と再就職手当を組み合わせて貰うことになります。

再就職手当

まず最初に「再就職手当」について説明する必要があります。

通常は求職活動を条件に認定日ごとに「失業給付金」を貰えるのですが、途中で就職が決まった場合には、残っていた「失業給付金」の一部を「再就職手当」として受け取ることができます。

「再就職手当」は会社への就職だけでなく、起業や自営業の開業でも受け取ることができます

それでは「再就職手当」を貰うための条件や金額についてご紹介します。

支給残日数の条件

「再就職手当」を貰う条件として、「失業給付金」の支給残日数が3分の1以上である必要があります。

一般的なパターンでは給付日数は90日ですので、上記条件にあてはめると、「30日以上残っていること」ということになります。

再就職手当の金額

支給残日数×基本手当の額×60%または70%となります。

パーセンテージが変わってくるのは、支給残日数が3分の1以上であれば60%、3分の2以上であれば70%となります。

一般的なパターンでは給付日数は90日ですので、

  • 支給残日数が60日以上:支給残日数×基本手当の額×70%
  • 支給残日数が30日以上:支給残日数×基本手当の額×60%

となります。

この計算については、再就職手当の計算というWebサイトが便利です。

その他の条件

その他の細かい条件がいくつか付随しますが、基本的には気にする必要はありません。

1つだけよく分からないのは、次の1文です。

  • 再就職した先で、1年以上引き続き雇用されることが確実であること

そんなのどうやって保証するの?という感じですが、一般的には、条件付き雇用(ノルマ未達成で解雇等)や6ヶ月限りの派遣社員雇用な場合は除くということのようです。

 

自分で開業や起業をする場合には、1年以上事業を続ける見通しがあることが求められます。

と言っても、またこれもどうやって保証するの?という話で、ハローワーク職員に確かめたところ、実際には、何か売上が立てばOKと言われました

これについては後ほど実例を示して説明します。

失業給付金と再就職手当の組み合わせ

起業する場合には、失業保険を貰う!というのは、正確に言うと「失業給付金」と「再就職手当」を組み合わせて貰う!ということになります。

以下の例を考えてみます。

  • 基本手当日額:5,500円
  • 給付日数:90日
  • 初回の失業給付金は10日分

※初回の失業給付金が何日分かは人それぞれ(ハローワークに行った時に提示されるスケジュールによる)ので一概には言えません。

その場合、失業給付金と再就職手当の組み合わせは次のようになります。

失業給付金 再就職手当 合計金額
すぐに起業・開業 0 全90日分×70%分 346,500円
1回目の失業給付金を受け取る 10日分 残り80日分×70%分 363,000円
2回目の失業給付金を受け取る 38日分 残り52日分×60%分 380,600円
3回目の失業給付金を受け取る 66日分 0 363,000円
失業給付金が終わってから起業・開業 90日分 0 495,000円

 

上の表から分かるように、

  • 最も多くなるのは、全て失業給付金で受け取った場合
  • 最も少なくなるのは、すぐに起業・開業して全て再就職手当で受け取った場合

ということになります。

そのため、もし起業・開業を急いでいないのであれば、90日分全てを失業給付金で受け取る方がよいです。

すぐに起業・開業したかったり、そもそも起業・開業の予定なのに嘘の求職活動をすることが面倒だということであれば、金額は減りますが全て再就職手当で受け取ってもよいと思います。

ただし、すぐに起業・開業すると言っても、待機期間満了後から1ヶ月以降でないと再就職手当は貰えません。その点だけ注意してください。

起業する場合に再就職手当を貰う流れ

前置きが長くなりましたが、起業する場合に失業保険を貰うというのは、「失業給付金」と「再就職手当」を組み合わせて貰うということだと理解していただけたかと思います。

「失業給付金」の方は退職して失業給付金を貰う流れで説明したのと変わりありません。

では「再就職手当」を貰う流れについて説明したいと思います。

ハローワーク2回目

ハローワーク2回目までは退職して失業給付金を貰う流れで説明したものと同じです。

ここから制限期間(3ヶ月)となります。

このときハローワークに、起業・開業する可能性があり「再就職手当」を貰うことも検討している旨を相談しておくことをオススメします。

そうすると以下に記載しているような流れについて、ハローワーク職員からも説明されるので、安心感が増すかと思います。

制限期間1ヶ月経過を待つ

待機期間が満了し、制限期間となって1ヶ月は経過を待つ必要があります。

1ヶ月より早く起業・開業してしまうと再就職手当は貰えません。

ただこれは手続き的な話なので、売上が発生しないのであれば、例えばWebサイトを制作することや起業・開業にあたっての書類準備等の作業については取り掛かっても構いません。

起業・開業の手続きを行う

起業のために法人を設立したり、個人事業主を開業するには、税務署に届け出が必要です。

この届け出の控えを持ってハローワークへ行き、起業・開業したということを伝えます。

これを伝えずに失業給付金を受け取った場合、不正受給とみなされる恐れがありますので、必ずハローワークへ伝えましょう。

売上を立てる

再就職手当を貰うにあたっては、

  • 再就職した先で、1年以上引き続き雇用されることが確実であること

ということを保証しなければなりません。

ハローワークの職員に起業したことを伝えると、上記の確認のために、売上が発生した証拠を見せるように言われました。

これ、起業したてで売上が発生しない人も存在すると思いますので、結構困るのではないでしょうか?

僕が取ったのは、アフィリエイトで売上を立てるという方法です。

もともとインターネットサービス事業という名目で起業しており、Webサイトを作るのは当然の流れでしたので、そのサイトにアフィリエイトを導入し、上手く宣伝することで、1件のアフィリエイト成果を獲得しました。
アフィリエイト1件くらいならTwitter等のSNSで紹介して回れば無料会員登録くらいはやってくれる人がいるのではないでしょうか?(詳細は察してください)

 

現在ではどのような業種で起業するにしてもWebサイトを作るのは当たり前だと思いますので、とりあえず再就職手当を貰うために、アフィリエイトで売上を立てるのは手っ取り早くて簡単だと思います。

ハローワークの職員にしても、売上が立った証拠さえ提示されれば良いので、深く突っ込んではきません。

僕の場合も、

  • アフィリエイト報酬は1件で1,000円ほど
  • しかもまだ未承認報酬の状態(承認には1ヶ月以上かかることもザラです)

でしたが、アフィリエイトサイト管理画面のコピーを見せて、ここに1,000円の売上があがっていますと説明するだけで、すんなりOKでした。

ハローワーク職員(担当者によりますが)も慣れているのか「アフィリエイト」という言葉や仕組みも理解しているようで、「はいはい、アフィリエイトですね、分かりました」という感じでした。

再就職手当の振込を待つ

あとはハローワークの職員が手続きをやってくれますので、再就職手当の振込を待つだけです。

起業・開業したことも伝えてありますので、心置きなく、事業に励んでください。

まとめ

起業する場合に失業保険を受け取る方法について説明しました。

そもそも失業保険を受け取るというのは正確な言葉ではなく、正確には、失業給付金と再就職手当を組み合わせて受け取るということになります。

再就職手当は普通に就職しても貰えますが、起業・開業しても貰えます。

 

失業給付金を満額(90日分)受け取る方が総額が大きいですが、すぐに起業・開業したい人は全額を再就職手当(90日分×70%)で受け取ってもよいと思います。

30%分目減りしますが、無駄に求職活動をするよりは、さっさと起業・開業した方が健全です。

起業により再就職手当を受け取る場合は、売上を立てることで「1年以上引き続き雇用されることが確実であること」を証明するように要請されます。

すぐに売上を立てろと言われて困る場合もあるかと思いますが、アフィリエイトで売上を立てるのが簡単でオススメです。

 

以上が、起業する場合に失業保険を受け取る方法でした。

貰えるものはサクっと貰って、自分の事業に邁進しましょう!